Slowly Quickly blog

羊毛を使ったハンドクラフトのウェブサイト Slowly Quickly のブログ。暮らしの中に、ハンドクラフトと本や音楽などのカルチャーがつながるきっかけを提案。

ブックカバー/パンジーと、後藤繁雄『独特老人』

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ブックカバー/パンジー

 

 

『独特老人』

何度繰り返し読んだだろうか。

 

この本の編著者である後藤繁雄さんご本人にお会いした時にも

『独特老人』がものすごい好きです

と伝えたら

後藤さんもやっぱり

この本には思い入れがあるように頷いていた。

 

この本に登場するのは

語弊を恐れずに言うとおじいちゃんたちである。 

しかし

ただのおじいちゃんたちではない。

語彙力がなくて表す言葉が見つからないけど

とにかく魅力的な

名前を聞けば誰もが知っているような

錚々たるパンチの効いたおじいちゃんたちである。

 

そしてまた語弊を恐れずに言うと

死を間近にしても

なお

静かに燃える紫色の炎のような情熱をまとった

おじいちゃんたちである。

 

何歳になっても尽きない

知りたい

伝えたい

という欲求。

それらに突き動かされて人は生きていると言えるのかもしれない。

そんなことを

この本に登場するおじいちゃんたちが教えてくれる。


当の本人たちは

さらさらそんな気なさそうなところがまたいい。

  

後藤さんはまえがきの中にこう記している。

「人生は短く、芸術は長い」と。

 

ならば

静かに燃える紫色の炎のような人生も

面白いかもしれない。

 

独特でいいじゃない。

 

 

 

編著者 / 後藤繁雄『独特老人』筑摩書房、2001年